カイロプラクティックの父
Daniel David Palmer
カイロプラクティックの父、D.D.パーマーは、1885年、アメリカのアイオワ州で、磁気治療の治療院を開業し、治療家の道を歩み始めました。
開業から10年後、パーマーは、治療院のあるビルで働くハーベイ・リラードという人物の耳が不自由なことを知ります。
パーマーは、リラード氏の難聴が、17年前に無理な動きをした時に、背中に衝撃が走って以来だということを聞かされ、すぐさまリラード氏の背中を調べました。そして椎骨(すいこつ)のひとつが、正常な位置からずれていることを発見したのです。その変位が難聴に何らかの原因を及ぼしていると考え、それをリラード氏に説明しました。
変位部分を元に戻すことに同意を得たパーマーは、椎骨の一部に手を当て正常な方向へ戻すと、椎骨は矯正されました。
すると、まもなくリラード氏の耳が聞こえるようになったのです。
この時こそが、カイロプラクティック誕生に向けた第一歩を踏み出した瞬間でした。
D.D.パーマーは、これを機に背骨と身体の症状との関連について研究を進め、ついにその治療法を体系立て、確立しました。
その後、助言者であるサムエル・H・ウィード牧師のアドバイスを受け、治療法の名称を、ギリシャ語の「手」=「カイロ(Chair)」と「技術/実践」=「プラクティコス(Practicos)」を合成した造語である「カイロプラクティック」(Chiropractic)と名付けたのです。
パーマーは後に
「体の各臓器や細胞に真の治癒力を伝えるものは身体の内部の知恵であって、私はこれを『内なる力』と呼ぶことにする。つまり、治癒力は我々の内部に備わっているのである」
と語っています。
実に100年以上も前に、パーマーは自然治癒力について解釈していたのです。
そしてその治癒力が十分に発揮できるのは、正常なバランスを保った体であるという事を突き止めたのです。